「蛤の吐息」をテーマに詩を吟じましょう。

「はまぐりのといき」 あゆみ

はまぐり ぐりぐり ぐりぐらぐら。

ぐらぐら グラタン オーブンに
いれたら ばくおん なりひびき
けむりにつつまれ けしずみ たんじょう。


はまぐり ぐりぐり ぐりぐらぐり。

ぐりぐら ねずみの ぐりとぐら
みんな  おまえら わすれてく
あおしろ あかしろ ぐりってどっち?


はまぐり ぐりぐり ぐりぐるぐる。

なるとの ぐるぐる ぴんくいろ
ぞうにの なると  のこしたな?
いちばん たかい  やつなのに。


はまぐり ぐりぐり ぐりぐれぐれ。

しんやの どうろを かっとばす
ぼうそう れんごう ぐれんたい
たいちょう よくみりゃ うちの父。


はまぐり ぐりぐり ぐりぐろぐろ。

くろぐろ ぶつぶつ あかなまこ
なにかに にてても きにしない
おめしあがりは すのもので。


はまぐり ぐりぐり らんかくで
はまぐり ぐりぐり げんしょうちゅう。








はま ぐり

作 あんな

昨日道ばたで蛤の吐息が耳たぶに触れた。
「私と一緒に蛸を襲おうよ」
私は「蛸を襲ったら一生蛸の恩恵を受けられなくなるって言ったのは君じゃない?」とある程度冷静に返した。 


夜蛤と一緒に食卓でコーンフレークを食べながら私はうっすらと蛤の汁を思い出す。
「醤油をかけてくれてもかまわないんだよ」と蛤が私の思っていた事を察したかのごとくにつぶやいた。
「まだ醤油をかける勇気はないんだ」と私は弱々しく言う。
蛤はその瞬間に貝を開き、コンロの上に飛び乗り、
「君次第なんだ」と言った。
私は一瞬躊躇するも蛤の上に醤油をたらす。
しかし私の気持ちは弱く、物事を宣言するには至らず、
蛤はまた貝を閉じ
私の耳元で吐息する。


息と吐息が交わったところで、
結局どうなるのさと思いもするけれども
右手に握ったキッコーマンのボトルが寂しく叫ぶ。
「最初から誘わないでくれよ」


私は眉毛を剃ってパンタロンをはいて
食卓の上で遠近感を無視して歌ってみる。


明日私は蛤の一部になる。
蛸が後ろから私を襲い
びっくりした私ののどにコーンフレークがつまり
カーペットに転んだ私のほっぺたには擦り傷がつき、
ベルトがしゅるしゅるとズボンから離れていき
行方不明の人の足音と共に、
生死を超えた戦いが始まる。


蛤が犬の背中から吐息をはき
明日の雲が出来上がり、私は天気読みをしながら
朝のコーンフレークを食べる。


行方不明の海原雄山入道雲
明後日の紙面をにぎわす。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050921-00000038-sanspo-ent
チェックイットアウトヨー。